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つれづれなるまゝに、日くらし画面に向かひて

タイム トラベル ②

今日は気が向いたので前回の続き、急遽決まったドライブからだらだらと書いていこうと思う。


急遽ドライブに行くことが決まった僕は胸を躍らせながら帰りの児島行きの電車に乗り我が家へと帰った。そして支度をし、亡くなった父から受け継いだ紺色のファンカーゴ後期の運転席に乗り込み2人の女子の待つ岡山へとんぼ返りした。

空が薄暗くなった頃、無事2人の女子と合流し2人共後部座席に乗り込んだ。そして僕らのドライブは始まった。

ルートは生前、父がよくドライブに連れて行ってくれた岡山→岡南→渋川のルート。海、橋、児島湖、締切堤防等を楽しむことが出来とても贅沢。もし彼女が出来たら走りに行きたいとさえ思っていた。

無音の車内では寂しい。何時ものようにラジオでもかけよう。そう思い僕はオーディオのスイッチに手を伸ばした。時刻は夜8時。チューニングはFM OKAYAMA 76.8 そして番組は何時も上質な時間を過ごさせてくれるユキ・ラインハートのA·O·R。すべては完璧だと思った。この時までは。

忘れもしないその日は水曜日。番組の特集は60's to 80's 時々 90's songs of japan。80年代の男性アイドルが”ジャンジャンジャン”とか言って元気に歌っている。僕の顔は真っ青。地獄だった。僕の中ではJAZZとかR&Bが流れる予定だったのに。

急いで後部座席からCDを漁り、当日お気に入りだったm-floのアルバムをかける事にした。何とか明るい雰囲気になり事無きを得た。

車内で何を話していたのかは正直覚えていない。他愛もない話をしていたのだろう。ただ、クッションを抱き時折笑顔を見せるショートカットの大人しくて可愛らしい女子のバックミラー越しの笑顔が印象的だった。

そして無事渋川の海岸に辿り着いた。車を降りた僕はおもむろに父の形見のzippoで今は無きPEEL Sweet Melonに火を着けた。”タバコなのにいい匂いだね。”とサブカルチックな女子に言われた。その時僕はきっとドヤ顔をしていただろう。

その日はどうやらショートカットの可愛らしい女子の誕生日だったらしくHAKUJUJIのホールのチーズケーキを食べることになった。ただフォーク等が無く僕は愛車をかっ飛ばし最寄りのFamilyMartに買いに走った。

無事に戻り妙にカラフルなフォークでチーズケーキを食べた。

自販機でジュースを買い、僕ら地元民の教習コース鷲羽山スカイラインで夜景を見て彼女らを送り僕は家へ帰った。

この日はたまたまドライブに行くことになった訳だが、まさか気になる女子の誕生日だったなんて。そしてA·O·Rから流れてきたのが邦楽特集だったなんて思っても見なかった。これも何かの運命だったのかも知れない。

そして彼女が”やっぱこれだよね”と言いながら自販機で選んだのが”力水”だった事が衝撃的だった。ちょっと不思議でそこがまた可愛い。そんな彼女の魅力を感じた10年ほど経った今でも忘れられない楽しいドライブだった。